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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
―阿倍どの。今はさように嘆いてばかりもおられませぬぞ。そうとはっきり判ったからには、至急に次の公方さまを決めねばなりませぬ。
 他の老中が言うと、後の者たちもしきりに目配せし合いながら頷いた。
―やはり、次の将軍は尾張大納言徳川光利公においてはおられますまい。
 一人が確信に満ちた口調で言うと、また残りの者たちも口を揃える。
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