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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
 たしなめられ、井坂(いさか)綱(つな)里(さと)は肩をすくめた。
―これは失礼仕った。
 阿倍は皆の話が止んだ後、おもむろに一同を見回した。
―その榊原泰雅どのこそが上さまの紛れもなきご子息でいらせられます。
―馬鹿な、榊原どののご生母は確かに上さまの姪ではあるが、お父上は榊原家の先代泰久どのではないか。何を血迷うたことを仰せになられる。
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