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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
 まさか自分について、老中たちの間でそのような取り沙汰がされているとは想像だにせず、泰雅はその日も予定どおり将軍を見舞っていた。
 同じ頃、泉水は思わぬ来客を迎えていた。
 泰雅が出かけて半刻ほど経った時、時橋が予期せぬ訪問者の名を告げてきた。
「いかが致しましょうか」
 あろうことか、当主泰雅の留守中に榊原邸を訪問したのは、尾張藩主徳川光利その人であった。
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