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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
「私も藩主になってから国許にいることが多くなり、榊原どのとは、もう五年近く逢っておらぬ。いや、返す返すもあの頃が懐かしいものよ」
「これは公にはされてはおらぬことゆえ、この場で申し上げるのはどうかとは存じますが、上さまがお倒れになったとお聞き致しました。やはり、尾張さまが次の将軍におなりあそばされるのでございますか」
「―ホウ、面白きことを訊ねるものだな。この私に真っ向からそのようなことをあからさまに問うてくるとは」
「これは公にはされてはおらぬことゆえ、この場で申し上げるのはどうかとは存じますが、上さまがお倒れになったとお聞き致しました。やはり、尾張さまが次の将軍におなりあそばされるのでございますか」
「―ホウ、面白きことを訊ねるものだな。この私に真っ向からそのようなことをあからさまに問うてくるとは」