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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
「少なくとも、当の私自身は将軍職になぞ、何の興味もない。回りの者どもの思惑は知らぬが、この泰平の世にあって、将軍なぞ誰がなったとて世は変わるまい。私にとっては幕府よりは父祖より受け継いだ尾張一国の方がよほど大事。藩主の座についてまだたったの三年、藩内にはなさねばならぬことは山積みになっている。それらを一つ一つ片付けてゆくだけでも私には荷が重いというに、何を好んで更に重い荷物を背負いたいと思おうか」
 光利は小さな吐息を洩らした。
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