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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
 男は優しげで物腰も穏やかではあったけれど、女の扱いは心得ているようであった。あの艶な内儀を見ていた舌なめずりするような眼には、明らかに好色そうな光が宿っていた。あんな遊び慣れ、女を知り尽くした男にとっては、通りすがりの小娘をほんの少しからかってみただけのことにすぎないに相違ない。
 泉水の中には次第に諦めがひろがっていった。所詮、あの男にとって、自分なぞ女の数の中にも入らなかったのか。もう二度とあの男に逢うこともないだろう。
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