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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第17章 第四話【花笑み】 《其の参》
先代家友公の御世、ここで若い御中﨟が何者かに背中を懐剣で刺し貫かれ、事切れていた。下手人もついに捕まらず、何ゆえ、彼女がここで殺されたのか、その原因さえ掴めぬまま事件は闇に葬られた。
また真夜中、火の番を務めて見回り中であった者が、廊下で平伏する白髪の老女を見たこともあった。この老女は三十年前、大奥が火事となり、一部が焼け、死傷者が出るいう惨事が起こったことがあり、そのときに焼け死んだ御年寄滝橋という者らしい―と、今でも真しやかに囁かれているそうな。
また真夜中、火の番を務めて見回り中であった者が、廊下で平伏する白髪の老女を見たこともあった。この老女は三十年前、大奥が火事となり、一部が焼け、死傷者が出るいう惨事が起こったことがあり、そのときに焼け死んだ御年寄滝橋という者らしい―と、今でも真しやかに囁かれているそうな。