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第20章 あとがきに代えて

その彼等を邪魔に思っている人がこの事件を起こしたのだという見方があります。つまり、月光院にとって片腕ともいえる有能な部下＝絵島を抹殺してしまえば、月光院は片腕をもがれた状態となってしまうと考えたのです。そのために、絵島生島事件は仕組まれたのだという説があります。
　明治時代になって、実際に大奥で生活をした人が〝御年寄が役者と恋愛するなんて、大奥はそんなことのできるほど甘いところじゃない。絶対にあり得ないことだ〟と証言したことと、この謀略によって絵島は陥れられたのだとする推論が合わさって、この事件がでっち上げではないかと考える人がいるわけです。
　私は歴史学者でも研究家でもないのですが、個人的には、この陰謀説もアリかなと考えています。そういう背景があって、今回の話が生まれました。
　今も昔も、こういうことって、あるんですね。ここでハッと思い出したのですが、かつて突然自動車事故で亡くなったイギリスの元皇太子妃ダイアナ妃も実際には事故ではなく謀殺されたのだという説がありますよね。ダイアナ妃の存在が邪魔になったから、殺されたのだと。
　いずれも真相は判りませんが、政治や権力の世界は本当に底知れぬ怖ろしさがあるように思います。
　作品については、これくらいにしますが、私はつい最近読んだ本のあとがきでこんな文章を見かけました。