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第3章 《其の弐》

　だが、逞しい男の身体は微動だにしなかった。美空の華奢な身体に回された男の両腕に力がこもり、美空はいっそう強く抱きしめられる。顎に手をかけて持ち上げられた美空の顔に孝太郎の端整な顔が近付いてきたかと思うと、二人の唇はごく自然に重なった。
　最初は軽く触れ合うだけだった口づけが次第に深くなってゆく。美空は眼を閉じて、男の熱を帯びた―それでいて、しんと冷えた唇を受け止めた。