この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第5章 《其の四》
その店番をする傍ら、木戸番を兼ねているのだ。この松兵衛には神田明神下の方に娘夫婦が住んでいると聞くが、娘婿との折り合いが悪しく、松兵衛は別居しているらしい。松兵衛が幼い子どもたちを可愛がるのも、ひとえには離れて暮らす愛盛りの孫たちの面影を他所の子に重ねているのかもしれない。
今日も、美空が訪ねると、松兵衛の店には長屋の子ども数人が群れ集まっていた。そろそろ桜の花も綻ぶが、ここではまだ焼き芋を売っていて、よく焼けた芋を紙に包み、子どもたちに手渡してやっているところだった。
今日も、美空が訪ねると、松兵衛の店には長屋の子ども数人が群れ集まっていた。そろそろ桜の花も綻ぶが、ここではまだ焼き芋を売っていて、よく焼けた芋を紙に包み、子どもたちに手渡してやっているところだった。