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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 妻の視物問いたげな視線を避けるように、孝俊はあらぬ方を見た。
 美空が息を呑んで見守っている前で、孝俊はおもむろに立ち上がり、部屋を大股で横切った。
 今日もまた、縁側の障子戸はすべて開け放っている。そろそろ初夏の空が西の端から茜色に染まり始めていた。そろそろ淡い夕闇が庭先に忍び寄ろうとする時刻である。
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