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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 帯状になった灰色の雲が幾重にも重なった空の下、紫陽花の色が数日前よりやや深まっている。殊に淡い蒼の紫陽花がうっすらと色を深めているのが印象的だった。昼過ぎまで降り続いていた雨の名残か、緑の葉の上に露のような雫が載っている。
 美空は孝俊の後を追い、縁側に立った。上背のある良人の後ろから、つま先立ちするような格好で庭を眺める。気配に気付いたのか、隣に立つ孝俊は口にこそ出さなかったが、眉間に刻まれた皺を黙って深くする。
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