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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》
「上さまがご危篤に陥られたそうだ」
唐突に良人の口をついて出た言葉は、実に衝撃的なものだった。
「何と、それほどお具合がお悪いのでございますか」
美空がやっとの想いで言葉を紡ぎ出すと、孝俊はゆるりと首を振った。
「侍医に言わせれば、むしろ、今まで小康状態を保っておられた方が不思議だったそうだ。一刻ほど前、江戸城から急使が遣わされ、俺も上さまご危篤の由を承ったばかりだ。これより、急ぎ登城せねばならぬ」