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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第12章 【細氷~さいひょう~】《其の壱》 
 美空は空を見上げ、もう一度、溜息を零した。美空の心をそのまま映し出したかのような鈍色の曇り空が江戸の町を広く覆っている。紫陽花の色の鮮やかさが、灰色に塗り込められた風景の中でそこだけ際立って見える。今の美空には、その場違いな艶やかさがかえって哀しかった。
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