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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第13章 第三話 【細氷~さいひょう~】《其の弐》
「何故、逃げる?」
 その声は、紛れもなく良人孝俊のものだ。
 美空の背に氷塊を入れられたときのような恐怖が這い上がる。
「孝俊―さま」
 半年ぶりに呼ぶ良人の名は、どこか空々しく馴染み薄いものに聞こえた。
「ホウ、まだ俺の名を憶えていてくれるとは思うてもみなかったぞ。こいつは光栄だ」
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