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ーウラ彼ー
第16章 ウラ彼

海斗は何度も振り向きながら、見えなくなるまで手を振ってくれた…。

姿が見えなくなって…ずっと繋いでた手の温もりが感じられなくて…。
一気に寂しさが押し寄せる…。

涙がとまらなくて…。
近くのトイレに入り…ハンカチを濡らして、目を覆う…

涙を止めたいのに、、、視界が遮られると、海斗の温もりを思いだして。さらに、辛くなる…。

っく…。っ…。


私の中に、こんなに海斗が溢れてたんだと実感する。


何度もハンカチを濡らして、落ち着くまで繰り返した…


やっと…少し落ち着いて、修司くんが待ってる車へ向かう…。
泣いてる顔を見られたくなくて、下をうつむいて歩いたせいで、何度もぶつかりかけた。

「おっと…。詩織ちゃん、大丈夫?」

顔をあげると…やっぱり修司くんで…。


海斗が好きだと…、言いながら、
その修司くんの優しさに甘えている自分が嫌になる。

「危ないから…」

と差し出された手をよけて…。

「こっち、つかんでもいい?」

素直に手を繋げなくて、洋服のすそを掴んだ。

修司くんは、いつもの優しい笑顔で微笑んで…
歩き出した。
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