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そのキスの代償は……
第7章 その日
あの人が私の腹上でこらえるような表情でフルフルと震える。

私はその愛おしい躰を抱きしめようと精一杯手を伸ばした。

快感に歪み、一心不乱に膜越しに白濁の欲を吐き出すあの人の

そんな艶やかな姿を瞳に焼き付けるまもなく、

視界に彩(いろどり)がなくなっていく…


でもどうしても抱きしめたくって、

私は渾身の力を振り絞り、その熱を求めた。


この人とスルことの気持ちよさを何度も躰に刷り込まれた。

今はこの快楽に、この人に、ただただ夢中だ。

しばらくはまだこの夢の中から目覚めたくない…


例えそれが自分の身を滅ぼすことになっても、隠し通してみせる。

これを得ることができるなら、何を言われてもしらを切り通してみせる。

今日は意識の糸を何とか離さなくて済んだ…

胸に堕ちてくる躰を受け止めながらその背中に腕を回した。


「課長…」

「ひな…

アイシテル」


彼の表情は見えない。胸には確かにあつい熱が感じられるのに、

私はその言葉にハッとして腕を離して

目の前のあの人の躰を思いっきり押した。


絶対そんな言葉を聞くことなんてありえないから。

だからこれが現実ではないことが…

今の言葉で解ってしまった…
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