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そのキスの代償は……
第9章 その躰
私がこの紙切れに縛られるということは…

私自身が自分を殺すことになる。

口にしたことのない、最初から否定された続けたこの想い…


所詮あの人にとっては、その程度のものなのかもしれない。

大した価値もないのだろう。

でもこの気持ちすら葬らないといけないなんて…

それだけは嫌だ。それだけは…

できない。だからここら辺が潮時なんだろうと思った。


「課長。今すぐここで、帰りのチケット下さい」

「なんでだ?」

「研修は引き続き出ますが、一人で帰ります」

「どうしてだ?席はどうせ、隣同士だぞ」

「時間を変更します。これ以上別れる私に何を求めるんですか?」


私は、一息吸い込むと心を落ち着けてあの人に向き合った。

これで終わりなら、きちんと誠意を示そう。

それがこの人にできる最後の事だから…


「仕事はきちんとします。

チャンスをくれた研修にも今後一人で生きていくなら

きちんと出て勉強したい…

でも部下である私に、これ以上の義務は…「お前は俺のモノだ!

愛人だろうが、何だろうが…

そんなこと、もうどうでもいいだろう?

淫欲の闇に落ちたお前が今更普通の生活ができるのか?

あの快楽を、そんなに簡単に手放せるのか?」」
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