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第1章 プロローグ

そして、私はもう一度アクションを起こす。

今度は飲み会の前の日、会社の前で待ち伏せた。


「アドレス…

教えてください」

真っ暗な駐車場までの道のりで私はあの人の後を追い、

車の前にたどり着く直前、やっとのことで声をかけることができた。

あの人の目がまた見開く。

「お前…」

「一度限りじゃなくて…

また会いたいんです」

俯いて蚊の鳴くような声で言う私を、あり得ないという顔をしてから…

突然自分の車に引きずり込んだ。

「お前わかっているのか？本当に？」


「わかってます。セフレって言うんでしょ、こういうの…」

あの人は一瞬切ない顔になってから右の眉を上げ、にやりと微笑んだ。

しばらくして…

黙ったまま携帯を取り出す。


そして、あの夜限りだったはずの関係は、

毎月会社の飲み会の日に、身体を重ねる時間を過ごす…

という形で続いた。


もうそんな事になってから…

１年が過ぎた。

あの人は、この地にきて４年になる。

３年を超えるといつ異動になるかわからない。

突然転勤の辞令が来て、終わるのではないかと怯えながら…

かといって関係を断ち切れるわけもない。


感情が伴ってはいけない関係。でもおそらく体の相性は…

いいはず。