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第11章 その朝

俺がやけになって選んで得たものなんて…

所詮この程度のモノ。


かおるに捨てられた腹いせもあった…

その頃、取締役に呼ばれ婿養子の事を打診され、

聡美に執拗に迫られて何もかもめんどくさくなって…

最後には押し切られるように結婚した。


新婚旅行は海外に行った…

初夜の国内から違和感を感じながらも、

それを直視することができないまま…

でも、この結婚の本当におぞましさを知ったのは…

帰国して結婚生活を始めてからだった。


大きな屋敷に父と世話係と夫。

３人の男と１人の女…

その異常な世界が徐々にベールを脱いだ。


自分の存在がこの家でどういう位置なのか…

わからずに悩んだ…

そして理解することを諦めた。

種馬のように聡美に種付けし続け…

子どもにも恵まれたが２人とも娘。


そんな得体のしれない憂さを晴らすために、

仕事にそれ以上に打ち込み、順調だったが…

それ以外の何もかもが虚しく寂しかった。


だから…

色々と言い訳をして家を出た。


その時やっと普通に息ができることが…

普通の世界に身を置くことができるというたったそれだけの事が…

嬉しかった。


開放感から、昔のように夜の街に彷徨い出て、酒に…

女に…

走った。