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そのキスの代償は……
第2章 その想い
このままつぶれてしまえばいいのに…

このまま意識がなくなってしまえば、

あんな馬鹿な事なんてしようとは思わないだろうから…


私はいつもよりずいぶん酔いが回ってしまったが、

最後の所でお酒に呑まれてしまうことはなかった。

これだけアルコールを摂っても、自分の気持ちは揺らがなかったし、

誤魔化せもしなかった。


あの人が好き。

この気持ちは、危険なのかもしれない…

不毛なのかもしれない…

でも、やっぱりあの人のことが好きだ。


私は上座にいるあの人に視線を向ける…

静かに一人手酌で飲んでいる。

その姿は、やはり怪しい男の色気を醸し出していた…

来る者は拒まず、でも媚びることもしない。

あの人は不思議な人だ…

絶対に危ないとわかっているのに、それでも魅かれるのは

ぬかるみに足を取られてもがく様に…

気持ちが止められなかった。

見つめ続けていると、一瞬こちらに視線が向けられ、目が合ってしまう。

その瞳の色に、私は息を呑んだ…


今絡まっている、何もかもをかなぐり捨てて、

ただの女に戻って、一度でいいからあの人に抱かれてしまいたい。


娘達がいる母親なのに、私自身が小娘みたいなことを思っているなんて…

本当に私はバカだ。
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