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そのキスの代償は……
第3章 その情事
唇が離れた時、私は何もかも吸い尽くされ、うつろな目だった。

いつの間にかあの人に縋り付くように首に手を回し、

やっとのことで立っている。


「こんな時のお前は本当にあまのじゃくだが、やっと素直になったなぁ…」

あてがわれた指の先がほんの少しだけ蜜壷の口に入り込み、

反対の掌が尻を撫でた。


「んんっ…」

「もっと増やす?」

首を振る。

「素直じゃないなぁ~、言えよ?

もっと欲しいって…」

尻を円を描くように撫でまわしながら、すかさず2本目の指が挿される。

「んあっ…」

「さっきから気持ちよさげに喘いでるだけか?

『欲しい』って言わなきゃ止めるぞ」

グチュグチュ。2本の指が縁取るように蠢く。

「やぁんっ」

翻弄する指。私はその快感に唇を噛みしめた。

しばらく震える躰であの人に縋り付いたまま疼く躰を堪える。

「……」

あの人の指の圧力がゆっくりと離れる感覚がして焦った。

「……チョウダイ」

やっとのことで絞り出す様に懇願の言葉を紡いだのに

「何が?」

意地悪く微笑んで、指はその周りを羽のように撫でるだけだった。

「オネガイだから…」

「だから何が欲しいんだ?」

その低く太い声色に、私は恥ずかしさのあまり黙り込んだ。
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