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せめて夢の中だけでも
第10章 真っ黒な空
「ごめん。待たせたな…」


「ううん。彼女は?」


「…連絡してない」





少しの沈黙が流れる…


「まっ。今日は付き合えよ。」


隼人は私の頭をグシャグシャに撫でた。


「もうっ…」




隼人を目の前にすれば…やっぱりまだ
胸が締め付けられる自分がいた。




私たちはそのまま街を歩き出し
当てもなくいろんなお店を見て回った。



一軒の雑貨屋に入り
綺麗な食器などが並んでいた。


「見て。すごく綺麗…」


私の目にとまったのは青と緑のガラスのペアグラス。


太陽を反射してキラキラと輝いていた。




…秋雨みたい…


キラキラ輝くガラスの煌きは何処となく
秋雨の放つ輝きと似ていた。



「ペアなんて使う相手いないだろ。」

後ろから笑いながら話しかける隼人。


「失礼ね…いつか出会えるのよ!」

隼人は呆れたように笑った。




「なんか飯食べようぜ」


その言葉に私たちは雑貨屋さんを出て
昼食を取ることにした。
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