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せめて夢の中だけでも
第10章 真っ黒な空
「帰ろうか」


食事が終わり、隼人が先に席を立つ。

後を追うようにして私がついていった。



そして、店の外へ出た時だった。



「あ。」


確かに隼人はそう言った…



「ちょっと…凛戻って。
忘れ物…」


強引に私も店の中へと入れようとする。


「何!?どうしたの?」


気になって外を見た時だった…




「あっ…」









「秋雨…」






道路を挟んだ歩道を歩く秋雨と隼人の彼女。






朝まで一緒にいた人とは思えない程
遠くに感じた。




「見るな。凛。」


隼人が私の手を引き2人とは
反対の方向へと歩き出した。


「ーーー!!!」



私の視界に飛び込んだのは…

こちらを向いて薄く勝ち誇ったように
微笑んだ彼女だった。
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