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せめて夢の中だけでも
第10章 真っ黒な空
…なっ…何なの!?



彼女は秋雨の腕に絡み
楽しそうに笑っていた。

秋雨も嫌な顔…とはかけ離れた
私に向ける笑顔とはまた違う笑顔。





「秋雨…」

小さく呟いた声は隼人にだけ聞こえていた。


「凛…」





始まったばかり…そう思っていた。


違う。



違うのかも知れない。



男と女は考え方が違うと何かの雑誌で読んだことがある。


女にとってHはスタート。

男にとってHは…ゴール…なのだと。






涙も出なかった。





秋雨を彼女に奪われた訳じゃない。
だって…私は


スタート地点にも立てていないんだから…
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