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せめて夢の中だけでも
第14章 不思議な男



ブー…ブー…





秋雨のポケットで携帯電話が震える。




ポケットから携帯を取り出しディスプレイを見る。


一段上の私にはその、画面がよく見える。





「もしもし?」


…出るんだ。



「今終わったところ。」


「ん?


うーん。


ダメ。」




…もしもーし。
私ここにいるんですけど?




後ろから髪をユックリと触った。

秋雨が少しだけこちらを向いて笑う。



…どうしていつも笑うのよ…


「また明日ね。

もう遅いから早く寝なよ。

おやすみ」



彼が通話を終わらせる。




「……秋雨。」


「ん?」



秋雨が首だけで見上げ私を見つめる。




「……女…」


「ん。」



そっと私の頬を触る秋雨。



…聞かないでと言われているような目。



笑顔の裏には何があるの?
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