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せめて夢の中だけでも
第15章 騒つく心
隼人が帰った後も私は寝付けないでいた。


…今頃、秋雨は店に出ているんだろうか…



ふとそんなことを考える。



私からは連絡することはほとんどなかった。
何故かしたらいけない気がしていた。


秋雨に群がる女の子の中の一人になりたくなかった…



ただそんな理由だった。






携帯電話を手に取り何度も彼の番号を呼び出す。

かけることはない…




その時、突然携帯電話が震え出した。

急な事で驚いて携帯電話を床に落としてしまった。


拾おうとして光るディスプレイに目をやった。





「あっ…」







電話を出るとその声はいつもの柔らかいものだった。




『もしもし?凛ちゃん』





「…仁さん…」




『今どこ?』



「あっ…私、今病院で…」



『えぇ!?何で?大丈夫なの?』


「そんな大したことじゃないです。


…睡眠不足で…」




『………アッハハハハ!!!』




電話の向こうで仁さん明るい笑い声が聞こえる。



『秋雨に、いじめられたか…』


「…違いますよ。」



『…そう?いつまでそこにいるの?』


仁さんの声は少し真面目な声になった。

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