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せめて夢の中だけでも
第15章 騒つく心



「凛ちゃん。ここにいて。

あっ!でも、変なことしないでよ。
一応ココは俺の家だからね〜」


扉が閉まり笑いながら仁さんはでていってしまった。





横にはスー…スーと寝息を立てる秋雨の顔。

綺麗な顔が台無しに…と言った仁さん言葉の意味が
すぐ理解できた。


口の端には痛々しい痣。
目の上も少し切っているようだ…


「何したらこんな顔になるのよ…」



右手も包帯が巻いてあった。




うつ伏せに寝ている彼は子供のようだった。
頬をそっと撫でると眉間に皺を寄せ、
反対を向いてしましった。



フフッと笑みがこぼれた。



いつもの微笑んで…何を考えているのか
解らない秋雨が、無防備で寝ている。

それだけで、とても嬉しいことだった。






「…凛…ちゃん」



「えっ…?」



反対を向いている彼が寝ているのか起きているのか
表情は見えない。


でも…確かに私の名前を呼んだ。
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