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せめて夢の中だけでも
第16章 3年前…side凛
雨の中…傘もささずに歩く私を
行き交う人たちは通り過ぎる時にチラッと
こちらへと目線を送る。



でも、私にはそんなことどうでもよかった。



携帯電話をおもむろに出し
私は電話をかけた。



『もしもし?どうした?』



「…っ。」


『斎藤?どうした?』


隼人の声を聞くともう…何も言えなくなってしまった。



「田中くん…助けてっ…」




『今どこ?行くから。待ってろ。』


「駅前…。」


『いいか!一歩も動くなよ!?』


そこで電話はとぎれた。



駅の前の交差点で…私は真っ暗な空を見上げた。



私の溢れてくる涙を雨が
一緒にさらってくれる…




…大好きだったの。晴。



「…ふっ。っく。晴…っふぅ…」



下を向いたらまた溢れてしまう。




その時だった…



駅の前で黄色い女の子の声が聞こえた。
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