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せめて夢の中だけでも
第16章 3年前…side凛
駅からこちらに歩いてくる男女の姿。


女の子はとても派手で…
夜のお仕事の人という風貌だった。


隣の彼もスーツ姿で…長身でよく目立つ。



俗に言う『相合傘』で彼女は嬉しそうに
彼の腕にもたれかかっていた。



「もうっ!アキっ!私が濡れる〜!」

「ハイハイ。」





彼女たちは私の向かい側の信号で立ち止まった。






…幸せそうね…




私は彼女たちをみて微笑んだ。




また涙が溢れ出す。



そんな私を…相合傘の中から
男性がじっと見つめていた。



…変な女だと思ってるんでしょうね…





その時その男女の後ろから走ってくる人影。



「凛っ!!!」




初めて彼の口から呼ばれたその名は…
私の視界を遮るには十分だった。




隼人は自分も濡れてしまうのに…

私に抱きついた。



「何〜?」


女性の声がしてそれをその横の男性が遮る。



「…運命なんだよ。行こう…。」



すれ違った時、男性と目が合った。


優しい眼差しで私を見つめる。




隼人の腕の力が強くなり
私は顔を胸へと埋めた…。
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