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せめて夢の中だけでも
第16章 3年前…side凛

ザーザーと降りしきる雨の中、私たちは
抱き合って雨に濡れていた。


「…何があったんだよ…」



「晴が…浮気してた…」



もう何十分も雨に濡れている私の体は
真夏と言えど寒さからカタカタと肩が震える。


その震えを止めるかのように隼人がまた
ギュッと力を込めて抱きしめた。



「ごめんな。こんな事して…」


「ううん。来てくれてありがとう…」


「風邪引くぞ。家まで送るから…」



「でも…こんな格好じゃ…」


…電車にも乗れない…



私の家も隼人の家も電車を使うしかない。




「…ならホテルに泊まる?」



「えっ…」


「大丈夫。お前には欲情しねぇよ。」


そう隼人は優しく笑った。



帰ることも出来ず、私達はホテルへと向かった。
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