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せめて夢の中だけでも
第18章 3年前…side秋雨
「仁さん…少し抜けるわ。
あのお姉さん、送ってくるから」
「1時間だぞ」
仁さんがニヤッと笑う。
「充分」
笑い返すと仁さんはその女に
手を振っていた。
「ありがとうございました。」
そう言って店の扉を開けると…
外は雨だった。
「アキ、傘ある?」
「ありますよ。一緒に入りましょうか。」
「そうね〜!」
一つの傘に二人。
別になんとも思わないけれど
女は俺の腕に絡みつく。
雨が徐々に激しさを増す。
駅の前まで着いた時…
向こうの交差点に人影が見えた。
…こんな雨なのに…傘もささないで…
幽霊のようにも見える程
もうずぶ濡れだった。