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せめて夢の中だけでも
第18章 3年前…side秋雨
俺がボーっとしていると

「もう〜。アキ!私が濡れちゃう!」


と声がした。


「ハイハイ」


と適当な返事をした。




濡れた女がいる向かい側の歩道に
俺たちは信号でとまった。








雨が降りしきる中



彼女は

傘もささず…

天を見上げ雨に打たれていた。







俺の視線に気付いた彼女は

こちらを向いて薄く微笑んだ。




雨に濡れていてもわかる。





彼女は…泣いていた。





雷に打たれたような錯覚に陥った。





その時…後ろから声がした。






…凛?






俺の目の前で2人が抱き合う。





「何〜?」




…きっとこれは、俺の



「…運命なんだよ…行こう」




すれ違う時に見た彼女の瞳は
全てを吸い込みそうなほど

澄んでいた。
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