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せめて夢の中だけでも
第20章 思い出せないあの日。
「隼人〜また明日ね。」
顔を赤く染めて隼人君に元気よう手を振る凛ちゃん。
一緒に駅のホームに入って
凛ちゃんの、行動を伺っていた。
凛ちゃんはベンチに座って
しばらくすると眠ってしまっていた。
…危なっかしいなぁ…
俺は凛ちゃんの隣へソッと座り
彼女の横顔を見つめていた。
軽く肩を叩き
「凛」
そう呼ぶと彼女は
眠ったまま可愛い笑顔を浮かばせて
「隼人…」
確かにそう言った。
…なんだ…この2人両思いなわけ…
ただ、惚れさせろって言われただけだったのに
俺の中は、凛ちゃんは誰にも渡したくない。
それだけになってしまった。
「凛。俺んちくる?」
そう呟くと凛ちゃんは
朦朧とした意識の中で笑って頷いた。
…女なんて簡単…
本当に。
俺は凛ちゃんを抱きかかえ
駅の道を戻り、自宅へと連れて帰った。