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せめて夢の中だけでも
第21章 晴れのち雨
「行くぞ。凛。
時間に遅れる」
「あ…うっうん。…じゃぁ」
足早に立ち去ろうとする私に晴は
「連絡する」
そう言って逆方向へと歩いて行った。
「連絡きても…取るなよ。」
隼人が低い声で言う。
「うっ…うん。」
まだ動揺しているのか私の足はうまく前に進むことができない。
止まれば震えてしまう…
「凛っ!お前にはアイツがいるだろっ!」
その声に私は強く頷いた。
…そうだ。過去は見ない。
私には、秋雨がいるじゃない…
私と隼人は売り上げ報告を終え、
近くのカフェで休憩をしていた。
携帯にはすでに一件の不在着信。
…どうして番号変えてないってわかるのよ…
彼の番号も変わっていないらしい。
ディスプレイにはしっかりと
「晴」と出ていた。