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せめて夢の中だけでも
第21章 晴れのち雨
「消せ。」
さっきから隼人はとてつもなく不機嫌だ。
「わかってる」
「嘘つけ。本当は迷ってるだろ。」
本当にこの人はいつも鋭い。
好きという気持ちではないけど…
懐かしさから話したいとは思った。
もしかしたら…謝ってくれるんじゃないか…
なんて淡い期待もあったのだと思う。
「あいつに言うぞ」
「やめてよ…」
その時…また携帯が鳴る。
「晴」
「しつこい奴だな。貸せよ」
「嫌よ。出ないから…放っておいてよ」
私は携帯電話を鞄に突っ込んだ。
しばらくは鳴っていたが…
そのうち静かになった。
…今更…掻き回さないで。
お願いだから。