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せめて夢の中だけでも
第4章 『秋』の『雨』

「…っちょっと!笑わないでよ!

こっちは悩んでるのに!」




「いいじゃない!三年も彼氏いないあんたが
Hできただけありがたいと思わなきゃ!」



「…覚えてないのよ。」



「はぁ?」


友香の顔は一変驚きに満ちていた。

そりゃ無理もない…
私は一度だって…成り行きの関係なんて
持ったことはない。

そんな私が初めて、初めて会った男と寝た上に
記憶にないと言っているのだから。




「覚えてないって…どんな人だったとかも?
ヤリ逃げされたの?」



「ううん。朝起きたら隣に寝てた。

私、自己紹介はしたみたいで凛ちゃんって呼ばれた。

でも、私はあっちのこと何も知らない…」




「少なからず…逃げようとは思ってなかったのかもね。


その時は…,

まぁ、何も知らないなら会うこともないし…
実質は一度きりの関係みたいな感じね。」



「…昨日はたまたま会ったの。

女とキスしてて…先約だからまたねって言われた。」



「何それ?女たらしじゃない。」



「うん。多分ね。」



ふーんと頬杖をついて友香は私を
じっと見つめる。
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