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せめて夢の中だけでも
第25章 メリークリスマス
…遠いな…秋雨。



私は彼女たちに笑顔を振りまく秋雨を
ぼーっと眺めていた。




酔っているからなのか…秋雨はいつもよりよく笑う。


カウンターでカクテルを作り、それを
女の子に手渡し…飲んでと渡されるカクテルを
飲むと、彼はヘラっと笑う。










パリンっーーーーーーっ。








テーブル席のどこかでグラスの割れる音がした。





「キャー。大丈夫?!」





1人の女の子が椅子の下へと崩れ落ちた。






秋雨はすぐにその子のところへ駆け寄ると
軽々と抱き抱えた。


「ユウキ、ここのグラス片付けといて。
俺はこの子を事務所に運ぶから」


「はいっ!」



バイトの子に指示を出すと、
秋雨は堂々と女の子を抱えたまま
フロアーの真ん中を通り過ぎた。




私の前に来た時…
目はあったのに…



何も言わず通り過ぎてしまった。
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