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せめて夢の中だけでも
第27章 疑惑と嫉妬。
「行こうか…」
搭乗ゲートまでは一緒に行く。
そこで荷物検査があり、そこでさようなら。
そう…さようなら。
最後に秋雨は優しく私の髪に唇を落とした。
そして、ゆっくりと包み込んでくれた。
周りの目なんて気にせず、
彼は私を抱きしめてくれた…。
最後の最後まで秋雨はこちらを見ていた。
私も秋雨が完全に見えなくなるまでそこでいた。
永遠のさよならじゃない…わかっているのに
溢れる涙は止まってくれなかった。
すぐに携帯電話がメールを受信する。
『すぐに、会えるよ。
俺の大事なお姫様。行ってくるね』
涙で画面もボヤけている。
それでも、携帯電話を握りしめ何度も読み返した。
半年間…ここで待ってるからね。