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せめて夢の中だけでも
第4章 『秋』の『雨』
しばらくして私たちは店を出た。



「友香。今日はありがとう。」

「いいのよ。凛。元気だしなさいよ!
私もイケメンに会えたからラッキーだったわ♡」

そう言うと私たちは駅で別れた。



友香の姿が見えなくなってから
私はあのカードをカバンから取り出し

その番号へと電話をかけた。




何かの気紛れでも…
もしかしたらまたエッチのお誘いかもしれない…
たまたま、今日遊ぶ女の子がいなくて
誘っただけかもしれない…


それでも良いから…もう一度…


会いたかった。



何度目かのコールの後
低い声の主が電話に出た。



『…はい』





「あの…私…」



そうとだけ言うと電話の向こう側の声は
急に明るくなった。



『…凛ちゃん?』



「はい…」



『電話…くれないって思ってた。』



何故か彼の優しく微笑む姿が想像できた。


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