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せめて夢の中だけでも
第4章 『秋』の『雨』
『あっ…今どこ?』


「えっ…駅の近く…」


『…そこ動かないで』



そうとだけ言って電話は切れた。




えっ…動くなって…来るの?



不安になりながらも私はその場から動けなかった。





10分ほどすると向こうから
あの彼がやって来た。



来たっー…。



彼が目の前に来るまでの間
私の胸はドキドキしっ放しだった。






「待たせたね。凛ちゃん。」


「あっ…いえ…」




体の関係があったとは言え…
私にとっては記憶にないのだから
なかったに等しい。

とても気まずかった。



「緊張しないでよ。
俺たち何もないわけじゃないんだから」


「やめてくださいっ!」



きっと…顔が火照るのは
酔いが回っているせいなのだと…

自分に言い聞かせていた。
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