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せめて夢の中だけでも
第30章 コピーで構わない
大分、客も増えカウンターも多くなってきた。

私は席を立ち、カウンターの煌君に声をかけた。



「もう帰るね…」

「あっ…」




私が店の外に出ると、
後ろから煌君が声をかけた。




「凛ちゃん。今日もチャイム鳴らすから。

待ってて…」


「遅いと…寝てるよ?」




「…なら…鍵…貸して。」




「えっ?」



「…どうしてもっ…どうしても…会いたい。」








…あれ?そう言えば…



正面を向いている。


さっきから、ずっと。





私は笑うと、
彼に鍵を渡した。



「私は管理人さんに開けてもらうから…。」



そう言って…アパートに帰った。






そして…深夜2時。





ピーンポーン…といつものようにチャイムが鳴る。



けれど私はもう夢の中だった。
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