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せめて夢の中だけでも
第30章 コピーで構わない
私は…ウトウトしながらも
時計とにらめっこをして…
やっと1時まで待った。
いつもは出勤前にくるから
待つことなんてなかった…
秋雨といる頃から私は待ってばかりだ。
今日は…起きて待っていたい。
眠い目を擦って煌が来るのを待った。
脳裏に…あの日が蘇る。
秋雨に別れを告げられる前日…
迎えにくるから待っててと言った秋雨は
帰ってこなかった。
煌ももしかしたら…帰ってこないのかも知れない…。
私は頭を振り、そんな邪念を振り払う。
…煌君は来てくれる…
そう信じるしかなかった。
時計の針は進み…
もう3時を回っていた。
ピンポーン…
ピンポーン…
夢の中の私に遠くから…
チャイムの音が響く。
ハッと目が覚め…慌てて玄関へと向かった。
鍵を開けると、寒そうにマフラーに顔を埋め
笑う…煌の姿があった。