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せめて夢の中だけでも
第31章 溢れる心と溢れた優しさ
「すいません…これは今日は入荷してなくて。」
ニコッといつもの笑顔に戻る。
「…なっなら…いいから…」
咄嗟に手を引くと、煌は一礼をして
戻っていった。
「何だよ…あれ。」
「びっくりしたぁ〜!先輩大丈夫です?」
「うん…」
まだ心臓がドキドキと踊っていた。
しばらくすると頼んだ料理やお酒が
運ばれてくる。
「…先輩?あの、煌君って…
五十嵐さんに似てません?
髪型とか…髪色とか…雰囲気が。」
「俺も思った。あれ、似せてんのか?
偶然なのか?」
「でも、仁さんには似てないですもんね。
兄弟なのに。やっぱり似せてる?」
二人は違う客を接客している煌をジッと見つめていた。
その視線に気づいた煌はこちらを向いて
フッと小さく笑った。
私は視線を合わすことが出来ず…
ただ黙々とサラダをつついていた。