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せめて夢の中だけでも
第32章 再会。
「煌…君。」
「良いんだ。凛ちゃんは何も言わないで。」
柔らかい笑顔のまま私の頭を撫でる。
…この子は…一人で抱え込もうとしている。
それを秋雨はわかっていたんだ…
「凛ちゃん。絶対、ここに秋兄を連れ戻すからね。」
その笑顔の裏は…泣いてるんじゃないの…?
その日の夜…
狭いベッドに二人で寝ていた。
ギシッと隣の煌が起きて
その弾みでベッドが音を鳴らす。
その振動で私も目が覚めた。
ベッドに腰掛けながら誰かと電話で話す煌。
背中越しに…その声を聞いていた。
「秋兄…俺の為なんだろ。
もういいんだけど…?」
静かな部屋では電話の向こうの秋雨の声と聞こえる。
『何言ってんの?誰のためでもないよ?』
「だったら…なんで兄貴が帰る時期早めんの?
限界なんでしょ?秋兄。
朱里が付いてきたのは誤算だった?」