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せめて夢の中だけでも
第32章 再会。
「凛ちゃん…」
「凛ちゃん…」
私のこめかみに軽くキスをする。
チュっと音を立てて電話越しの秋雨にも聞こえるように。
『おい。ふざけないでよ。』
「隣にいるのは今は俺だよ」
『凛ちゃん…』
1度目は小さく私の名前を呼ばれた…
二度目はとても近くて…
耳のすぐ側だった。
『…っ凛ちゃんっ』
我慢していた涙が溢れて肩が揺れてしまう。
「やっぱり…起きてたね。凛ちゃん」
肩越しに振り返ると…
携帯電話を私の耳に当てている煌君。
起きてるのバレてたんだ…
「はい。秋兄だよ。」
そのまま携帯電話を耳に当てられる。
『凛ちゃん?起こしちゃったね?』
「秋雨っ…っ。」
『凛ちゃん。近くで守ってやれなくて…ゴメンね。』
「私…朱里さんに、何言われてもいいよっ。
側にいたい…っ…。」
『凛ちゃん。我慢だよ。
もう少しだから。』
秋雨の優しい口調は、私を一瞬で
冷静さを取り戻させてくれた。