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せめて夢の中だけでも
第33章 朱里という女性。
「なぁ…もう俺に執着するのやめたら?」
「…………」
「俺、朱里のことは好きにならないよ?」
「わかってるわよ。」
「煌の事も。あいつ、もう解放してあげて。
煌は俺じゃない。」
「…わかってる。そんなの…」
「なら…どうして…寂しくなるたび
煌に連絡する?」
「…優しいのよ。煌は。
秋雨と違う…突き放したりしない。
いつも私の横で笑ってる。
秋雨と呼んで抱かれても…怒らない。」
…溜息しか出ない。
腹も立つ。
煌にも…朱里にも。
「ねぇ。秋雨…あの、凛って子の事。
本気なの?
釣り合ってもない…
あれほど…見境なく抱いてきた秋雨が
聞いて飽きれるんだけど。」
風が吹き、朱里の髪をなびかせる。
「…本気だよ。
もう凛ちゃんしか…俺にはいない」
「ふぅーん。つまらない男になったわね。
あんたも煌も…」
朱里は髪を整えると
部屋の中へと戻っていった。