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せめて夢の中だけでも
第34章 変わらないその気持ち。

「…帰るってどこによ…」


「福岡だよ。俺も付いて行くから!」


「…何で煌が、ついてくるのよ…」



「俺…朱里のこと好きだった。
だから…ほおっておけない…」


「同情なんて…いらないわ…」



背中越しに朱里さんが震えているのがわかる。
きっと…涙を堪えているんだ。




「朱里。」



煌君が近付いて肩にソッと触れると
勢いよくその手が弾かれた。




「やめてよっ!もうっ!」



振り返った朱里さんはやっぱり泣いていた。






「煌っ!あんたは自分の為に生きなさいよ!

2年よ!?2年…あんたは…私から秋雨と呼ばれてたのよ!?

どうして…どうして…優しくするの…」




「俺が…朱里を好きだったからさ…

21歳のガキだった俺に…朱里は優しくしてくれた。

まだまだガキだけど…一人の女を守る覚悟は
身につけたつもりだよ。」



「そうね…私が…仕込んだものね…」



朱里さんが微笑む。
きっとどんな涙よりも綺麗だと…感じた。
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