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せめて夢の中だけでも
第35章 友情
「仁さん……。」
「あ?」
仁さんは振り返らずにパソコンの画面に目を落としている。
「俺…」
「やめさせねぇーぞ。」
カチカチっとマウスを動かし
そんな一言を言ってきた。
「違うよ…あのさ…」
「結婚もまだ…許さねーぞ」
「…………嘘だろ?」
「さぁな。で?なんだよ?」
仁さんがくるっとこちらを向く。
「…朱里のこと…ごめん…」
「ハッ…今頃か。」
それだけ言うとまた向きを変えてしまった。
「いや…昔もだけど…今回も。」
「今回のは仕方ないだろ。
朱里が秋を連れてこないと辞めると言い出したんだ。
あいつが福岡の、稼ぎ頭だから…
仕方ねぇ。
お前にも無理をさせた。
こっちこそ…悪かった。」
「何で…仁さんが謝るんだよ…」
仁さんは何も言わずただパソコンの画面を見ている。