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せめて夢の中だけでも
第5章 静止の手。

リダイヤルをすると秋雨は、
すぐに電話に出てくれた。


「ゴメン、仕事中だっただろ?」

「大丈夫だよ。」

「今日、店来れない?」

「今日?」

「うん。…ダメ?」

「友達に聞いてみるね」



そう言って電話を切った。



オフィスに戻った私は沙織ちゃんを
お誘いしてみた。


「いいですよ。かっこいい人見れるし♡」







そして…仕事も終わり私と沙織ちゃんは
二人でそのダイニングバーに向かうことにした。



会社の入り口で隼人に出会った。


「誰待ってるの?あっ。彼女?」


「あぁ。」


「へぇー。田中先輩デートですか?

先輩と沙織もデートなんです!」


その言葉に隼人の顔が少しだけ
動いた。


「何だデートってホストクラブかなんかか?」


「バカ言わないでよ!」


沙織ちゃんは悪そびれた様子もなく
「今日、田中先輩が聞いてきたBARに行くんですよ」
と敢えて強調して言い放った。




…この子…隼人を試してる…
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